桜並木が有名な住宅地。塀は設けず通りの桜、山の木と石積みの前庭がひとつになって、まちの新たな風景をつくります。昔からそこにあるような佇まいです。ゆとりのある敷地ですが、北面道路、東、南、西は隣家に囲まれ、南にお庭、北にお家の一般解だと、広がりも奥行きも生まれません。隣家の位置、望める景色、方位、光の入り具合などを考慮し、配置を工夫しました。正方形の敷地に対し、東南から北西へ対角線上に、少しずつ角度を変えながら、いろんな居場所を繋げ、大きな屋根をかけました。表情ゆたかなお庭、暮れなずむ遠くの山々と、どこにいても固有の景色が楽しめて、気持ち広がるお家になりました。庭や周囲の環境もひとつになって、敷地全部がゆたかな暮らしの場です。お風呂に入る、お洗濯する、お料理する、ゴロゴロしたり、まどろんだり… 何気ない暮らし一つ一つを、自然の恵みの中で過ごしたい。それぞれが思い思いに過ごしていても、気配を感じて過ごせたらいいね。そんな思いが積み重なって、日々の暮らしが“幸せ”と思えるお家になりました。家族と景色と過ごすひととき…。ゆったりとした、至福の時が流れていきます。